今まで語られることのなかった開発秘話!
Q.生まれたきっかけを教えてください
通信機器を運搬するために、機器にフィットした寸法で可搬型のラックを作って欲しいとの要望でstaffシリーズは誕生しました。
精密機器を運搬するための大型BOXは樹脂製のものがすでに海外で市販されていましたが、ヘリコプターやトラックに搭載する時に、限られた積載量のなかでは、三段積が二段しか積めないなどの障害が発生していました。そのためデットスペースを極力減らすために機器の大きさや収容条件に合わせて自由にミリ単位で製作可能な収納ケースを作って欲しいという要望があったためです。
Q.海外製では樹脂製のものがあったのに、なぜ今回の材質はアルミを採用したのでしょうか?
本来ならば、軽量の材質であるチタンや、CFRPを採用しても良かったのですが、それではコストメリットが見いだせないためアルミを採用する事になりました。アルミは金属の中でも比較的比重が軽く高強度な上、加工しやすいという特性があります。また、通信機器を積載して、移動し現場に設置した時にラックから出さずに、そのまま蓋を開けるだけでシステムを構築するため、筐体に放熱性と電磁波対策が求められた事が最大の理由になります。そのため、中にいれる機器によっては材質を変更して開発することも可能になります。
Q.タキゲンはパーツメーカーですが、今回は何故ラックの開発を手がけたのでしょうか?
日本ではデータセンターで使われるサーバラックの製作は様々なメーカーが手がけています。しかし鉄製で非常に重いもので可搬を目的に開発されたラックはありませんでした。
タキゲンは100年以上にもわたり、産業用金物の開発でノウハウを蓄積してきました。その中でもアルミ製品の開発は、ダイカストや押出材の加工等今まで行ってきた仕事の延長であり、当社にはそのような製品を作れる土壌が十分にありました。
Q.staffシリーズは通信機器だけではなく、様々な用途が広がっているとの事ですが・・・
よくお話があるのは、映像機器や音響機器などですね。
イベント会場などでも運搬し簡単に設営できると好評です。また、災害が起こったときに瞬時に移動できるように日常から機材をラックに設置して運用したいなどのお話もあります。
また、高価で特殊な機材が搭載されていたヘリコプターや車から、staffシリーズに積み替えるだけで、専用車による運営だけではなく、効率的な機材の運用を実現することができます。
Q.医療関係でも要望が高まっているとか・・・
そうですね、新しい分野としてはiPS細胞の運搬です。
厳しい運搬条件があるのですが、37度で保温、細胞に振動によるストレスを与えない装置を大学基幹等で研究されています。そこで内・外部にも様々な加工が施せるstaffシリーズに注目が集まっています。保温装置や防振装置、水平保持等を盛り込んだstaffシリーズの開発が進んでいます。
一昔前に比べて、日本国内の物流はかなり進化しています。iPS細胞しかり、今まで輸送することが難しかった物を安全に運べるためのBOXとして用途も広がっています。
Q.staff シリーズはまだまだ進化するのでしょうか?
現在開発している仕様は、水中に浸漬できるIP×7タイプや、軽量化CFRPタイプですね。
staffシリーズはお客様の要望により、どのようにでも形を変える事が可能です。
機器の運搬、現場で箱から出さずにシステムアップを行いたい、連結スタック機能等、様々なリクエストがあった時には、是非タキゲンにご相談下さい。