チタン
チタンは強く、軽く、耐食性に優れた金属です。比重は鉄の約半分、強さは鋼に匹敵する強度を持っています。また、安定した酸化皮膜により優れた耐食性を発揮し、特に海水に対しては完全耐食を示します。溶接、加工、熱処理などの材料履歴により劣化もなく、さらに無毒性、生体適合性は他金属に比類がありません。チタンは経年変化がほとんどない為、リサイクルが容易で環境を大切に考える未来派金属といえます。
使用されている目的と場所
軽量、高強度、高耐食
航空・宇宙-機体構造材、エンジン部品、ロケット部品、火力・原子力発電-復水器、タービンブレード、海洋開発-深海艇、海水淡水化装置、自動車-エンジン部品化学・石油化学-熱交換器、反応槽、タンクローリー、写真現像機、めっき装置、エッチング装置
無毒性・生体適合性
医療・食品、人工骨、心臓弁、カテーテル、食品機器用電極、車椅子
無毒性・生体適合性
医療・食品、人工骨、心臓弁、カテーテル、食品機器用電極、車椅子
ファッション性
スポーツ用品・日用品、ゴルフクラブ、テニスラケット、めがねフレーム、時計、カメラ、自転車、中華鍋
非磁性
精密機器、電子機器
短い放射性・半減期
原子力廃棄物処理、再処理装置
極低温特性・超伝導特性
低温機器、超伝導発電機、CTスキャナー
チタン製品のメリット
メンテナンスの手間と交換の費用が抑えられるためチタン製品でトータルコストダウンを図ることができます。
耐食性が優れている
チタンの大きな特徴の一つとして耐食性がよいことがあげられます。海水に対する耐食性は白金と同程度に錆びることがありません。チタンは通常の条件では表面に非常に緻密で強固な酸化皮膜が急速に生成します。仮に傷などが入り、素地がむき出しの状態になっても再び急速に酸化皮膜ができるため、内部の金属を保護し、酸化を防ぐのです。
●海水はもとより各種塩化物に対し実用金属材料の中で最高の耐食性。
●海岸地帯の海塩粒子や凍結防止剤の塩化カルシウムに対しても耐食性は安全。
●亜硫酸ガス・硫化水素・アンモニアガス等の腐食性ガスに対しても優れた耐食性。
●硝酸・クロム酸・王水等の酸化性酸に対してもきわめて優れた耐食性。
●応力腐食、孔食に関しては全く心配不要。
比強度が強い
チタンの比重は鉄・ステンレス鋼の約60%で、構造材料として使用する場合、これら金属材料の約半分で済むことになります。このため比強度(引張強さ/比重)が高く、特にチタン合金の比強度は約500℃まで実用金属中最高の値を示します。
耐力・引張強さの比率が高い
チタンは引張強度に対して耐力値が高く、特にチタン合金ではその比率が90%以上という高い値を示します。
疲労強度が優れている
引張強度に対して疲労強度がきわめて高く、疲労比(疲労強度/引張強さ)は0.5〜0.6を示します。(鋼の疲労比は0.2〜0.3)
衝撃性質が優れている
工業用純チタンは常温よりむしろ低温で靱性を有しています。またチタン合金も、鋼であらわれるような低温における急激な脆化現象を示しません。
他金属材料との物性比較
項目 | チタン | 鉄 | 18.8 ステンレス鋼 (SUS304) | アルミニウム | アルミニウム 合金(7075) |
---|---|---|---|---|---|
原子記号 | Ti | Fe | - | Al | - |
原子番号 | 22 | 26 | - | 13 | - |
原子量 | 47.90 | 55.85 | - | 26.97 | - |
比重 | 4.51 | 7.9 | 7.9 | 2.7 | 2.8 |
溶融点 (℃) | 1,668 | 1,530 | 1,400〜1,420 | 660 | 476〜638 |
線膨張係数 (/℃) | 8.4×10-6 | 12×10-6 | 17×10-6 | 23×10-6 | 23×10-6 |
比熱 (cal/gr/℃) | 0.124 | 0.11 | 0.12 | 0.21 | 0.23 |
熱伝導率 (cal/cm2/ sec/℃/cm) | 0.041 | 0.15 | 0.039 | 0.49 | 0.29 |
電気比抵抗 (μΩ・cm) | 55 | 9.7 | 72 | 2.7 | 5.8 |
電気伝導率 (%対鋼比) | 3.1 | 18 | 2.4 | 64 | 30 |
ヤング率 (kg/mm2) | 10,850 | 21,000 | 20,400 | 7,050 | 7,300 |
ポアソン比 | 0.34 | 0.31 | 0.3 | 0.33 | 0.33 |
項目 | マグネシウム | ニッケル | ハステロイC | 銅 |
---|---|---|---|---|
原子記号 | Mg | Ni | - | 29 |
原子番号 | 12 | 28 | - | 29 |
原子量 | 24.32 | 58.96 | - | 63.57 |
比重 | 1.7 | 8.9 | 8.9 | 8.9 |
溶融点 (℃) | 650 | 1,453 | 1,305 | 1,083 |
線膨張係数 (/℃) | 25×10-6 | 15×10-6 | 11.3×10-6 | 17×10-6 |
比熱 (cal/gr/℃) | 0.24 | 0.11 | 0.092 | 0.092 |
熱伝導率 (cal/cm2/ sec/℃/cm) | 0.38 | 0.22 | 0.03 | 0.92 |
電気比抵抗 (μΩ・cm) | 4.3 | 9.5 | 130 | 1.724 |
電気伝導率 (%対鋼比) | 40 | 18 | 1.3 | 100 |
ヤング率 (kg/mm2) | 4,570 | 21,000 | 20,860 | 11,000 |
ポアソン比 | 0.35 | 0.30 | - | 0.34 |
注) 18-8ステンレス鋼:C(r 18%)-N(i 8%)-Fe(R) アルミニウム合金7075:超々ジュラルミン〔Cu(1.6%)-Mg(2.5%-C(r 0.3%)-Zn(5.6%)-A(l R)〕の焼入焼戻材 ハステロイC:54Ni-17Mo-15Cr-5Fe-4W
最近閲覧した製品
営業⽇カレンダー
- 休業日
- 本日