難燃性UL94規格

ULとは、米国の“UNDERWRITERS・LABORATORIES・INC”という法人の頭文字UとLをとった略で、米国で電気が使われはじめた1894年に、電気製品の事故から生ずる様々な損害からの自衛手段として保険業界が設立した安全試験機関がその発祥である。その後、社会的に非常に高い評価をうけ、保険業者から独立し、公的な安全試験機関となった非営利法人が今日のULである。

目的は、モットーである「公衆安全のための試験-Testing for Public Safety」が示すごとく、火災、感電、盗難、その他の事故から人命や財産を安全に保護することである。

一口にULといってもその内容は多岐にわたっており、約800のカテゴリーが存在する。それらを大きく分類すると燃焼性(難燃性)、耐熱性、電気特性となる。その中でUL94のカテゴリーは装置及び器具部品用プラスチック材の難燃性能のランキングである。

UL94 HB

水平燃焼試験(Horizontal Burning Test)で判定短冊状の試験片を片端で固定して水平に保持し、その逆の端に30秒間ガスバーナーの炎を接炎させる。ガスバーナーの炎を離した後に試験片が燃焼を続けたならば1インチマークから4インチマークまでの燃焼速度を測定し合否判定する。以下の範囲の速度であれば94 HBと認定される。
それ以上の燃焼速度であれば不合格である。94 HBには自己消火性はない。

以下3つの条件の何れかを満たすこと。

  • A.試験片の厚さt0.12〜0.15in(3.05〜3.81mm)のとき、3in(76.2mm)スパンの燃焼速度は毎分1.5in(38.1mm)以下であること。
  • B.試験片の厚さt0.12in(3.05mm)未満のとき、3in(76.2mm)スパンでの燃焼速度は毎分3in(76.2mm)以下であること。
  • C.94 V-0、94 V-1、94 V-2のそれぞれに適合しないものは、4インチマーク(101.6mm)に炎が到達するまでに消火すること。

試験片

水平燃焼試験

UL94 V-2・94 V-1・94 V-0

垂直燃焼試験(Vertical Burning Test)で判定短冊状の試験片を垂直にし上端で保持し、その下端に10秒間ガスバーナーの炎を接炎させる。ガスバーナーの炎を離した後に炎が消えたなら直ちにガスバーナーの炎をさらに10秒間接炎し炎を離す。判定は有炎燃焼時間の合計とドリップ(試験片から落下する粒子)による引火の有無により、燃焼しやすい順から94 V-2・94 V-1・94 V-0とランキングされる。
{試験片は長さ5in(127mm)、幅 0.5 in(12.7mm)とし、厚さは最小から最大0.5in(12.7mm)までの5種類とする。厚さ増加分は、各々0.125in(3.18mm)を超えないこと。}

垂直燃焼試験

判定基準 94 V-2 94 V-1 94 V-0
接炎後の燃焼時間
(全ての試験片)
30秒以内 30秒以内 10秒以内
10回接炎した後の
燃焼時間の合計
250秒以内 250秒以内 50秒以内
試験片の保持位置
までの燃焼
不可 不可 不可
ドリップの落下
による脱脂綿の燃焼
不可 不可
2回目の炎を取り
去った後の燃焼時間
60秒以内 60秒以内 30秒以内

※ドリップ=試験片から落下する粒子

UL94 5VB・5VA

UL94 V-0・94 V-1・94 V-2と同様に垂直燃焼試験で判定するが(A.B.C)、試験には10倍の燃焼エネルギーのガスバーナーを用いて判定する。この試験に適合すると最高ランクの難燃性試験であるプラック試験(D)があり、適合すると5VAとなる。

UL94 5VB

以下ABC3つの条件を全て満たすこと。

  • A.どの試験片も5回の接炎後の燃焼は60秒をこえないこと。
  • B.ドリップ(試験片から落下する粒子)がないこと。
  • C.どの試験片も炎に接した部分に著しい損傷がないこと。

UL94 5VA

以下ABCD4つの条件を全て満たすこと。

  • A.どの試験片も5回の接炎後の燃焼は60秒をこえないこと。
  • B.ドリップ(試験片から落下する粒子)がないこと。
  • C.どの試験片も炎に接した部分に著しい損傷がないこと。
  • D.プラック試験で接炎部の開口がないもの。{6×6in(152×152mm)の試験板に5秒間の接炎後5秒間離す。これを5回繰り返す。}

技術情報

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